川は流れる

on 4月 11, 2017 in Diary

カウンセラーですって言うとなんとなく伝わりやすいからそうしてるんですけど、本職が研究員なのか、物書きなのか、自分でも最近よく分からない。唯一分かっていることは、心が苦しい人にとって、私の言葉にはたいした価値がないってことくらいだ。

 

さっき言った通り、悩む人にとって、私の言葉にはたいして価値が無い。私が発した言葉は「きっかけ」であって、他人の悩みにはあんまり影響がない。

悩みっていうのはすごく主観的なもので、悩みを打破する「気づき」もまた主観的な体験だ。つまり第三者が何か言おうがしようが、当人が「気づき」、行動することによってしか解決しないものだと思う。

 

出たよ、心理学とかすぐ「気づき」とか言うよね。もっと平たく言い換えましょう。

 

例えば私がAさんをすごく憎んでいるとしよう。ある日、Aさんが死んだら、ざまあみろって、少しスッキリするかもしれない。でも「私の心の中に巣くう憎しみ」は、Aさんが生きてようが死んでようが、あんまり関係ない。それは憎しみが「現在のAさんの状況」ではなく、「憎む原因となったAさんの仕打ち」などの過去にフォーカスしているから。死んだぜやったー!で済むならいいけど、十分に苦しまずに死にやがってと、余計に憎むかもしれない。

この「憎しみ」を「悩み」に替えてみようか。どちらも主観的なことです。誰かが何をしようと、原因となったものが払しょくされようと、喜怒哀楽の感情は貴方ひとりのものだから、環境だけ変わったって意味がない。環境が変わって、「自分の気持ちが変わって」、憎しみや悩みが薄まるのですね。

 

何が言いたいかっていうと、結局自分でなんとかするしかねえってことです。

 

でも落ち着いて、その拳を収めてくださいw

自分で「気づき」を得て感情を消化するのは、簡単な事じゃありません。でも、その「気づき」を得るためのヒントを出すのが、カウンセラーの役割だったりします。やり方はいろいろあるので、その人にあった方法を一発で提案できるとは限りません。何しろ人間の心は複雑で深い。カウンセラーごときが一発で見抜けるほど浅くはありません。カウンセラーの助けを借りながら、少しずつ自分を発掘していく、というような感覚で、自分自身を知っていただけたらいいなと思います。自分が落ち込んだ時の切り替え方とか、体得したら一生ものです。

(追記:カウンセリング通っても全然良くならない!っていう人は、カウンセラーという松葉杖を使って歩くのは自分だという認識を持ってください。カウンセリングは救いを与えるものではないです。あなたの心は他人が簡単に塗り替えられるほど単純じゃない。)

 

私が知っているいくつかの方法を適当に書いておくので、悩んだ時にでも使ってみてください。もしかしたらちょっと楽になるかもしれません。(ただし個人が独断でやることについては、私は保証はできませんので、自己責任でね。)

 

 

1. 川は流れる、せき止めてはいけない

 

私はゲシュタルト療法が好きなので、パールズ先生の言葉をよく出します。パールズの自伝の中で、この言葉が出てきます。川は流れるから、せき止めてはいけないと。川の流れは、感情のことを指しています。

最初に言います。その悩み、苦しみ、悲しみ、今すぐ止める必要ありますか?時間が許すのであれば、悲しみに浸ることも人生を豊かにする経験ですし、苦しみや悩みは寛容さを上げる機会にもなります。

すぐに「なんてことない!」って空元気を出すことが一番危険です。空元気を出すと、心の中に悲しみなり苦しみが留まります。それを貯めておくと利子がついて余計に辛くなる場合があります。空元気になってすっかり忘れたのに、何年後かに「先生、私子供の頃の事が気になってきまして・・・」なんて掘り起こすことがあります。貯めていた期間が長ければ長いほど、解消に時間はかかります。

もちろん、無理に悲しみ続ける必要はありません。自分の心をよく観察してください。まだ悲しいと思うなら、もう少し悲しみに浸ってもいいでしょう。そうでもないなって思えるなら、日常の習慣に1歩ずつ戻ってみましょう。大事なのは「無理に自分を励まさない」ことです。

 

 

2. 悩むのなら針箱を整頓なさい

 

とはいえ、悩んで動けないままでは生活に困る!っていうこともあるかもしれません。ちょっと無理してでも気分を少し上げたいって思うのなら、部屋を掃除してください。

私ももうすっかり出典を忘れましたが、たしかドイツのジョーク集だったと思います。精神科医の所にご婦人が相談に来て「まず貴女のお針箱の中を整理しなさい」って言う。そうするとみんな元気になるっていう話。

なんだよジョークかよって思わないで。精神疾患と生活環境の整頓度を実際に研究した方がいて、関連性があるのではないかと結論付けていました。私もたまにですが、訪問診療に同行することがあります。患者さんの自室を見るわけですが、悩んでいる人ほど整頓具合はカオスです。悩みというよりは、困っている事や気になる事が頭の中で雑然と散らばりすぎていて、それが不安の原因になっているということが多いです。

お金もかからず、割と即効性のある手段なので、まずはこれをお勧めします。

 

 

3. 背景から湧き上がるゲシュタルト

 

パールズの詩の好きな部分です。パールズの提唱したゲシュタルト療法の根本的な部分ですが、この図、見覚えありますか?

Rubin2

ルビンの壺ですね。壺に見えるか、向かい合う二人の横顔に見えるか、という絵です。右側の図で説明すると、壺に見える人は、黒い部分を背景として認識しています。二人の向かい合う横顔に見える人は、白が背景だと思うわけですね。

ゲシュタルトというのはドイツ語で「形」という意味です。細部ではなく、おおきくまとまった形のこと。つまり、壺に見えていた人にヒントを与えると、それまで背景だと思っていた黒地に意味が見えてくる。「気づき」を得ることで、物事や自分の心の新しい側面が浮かび上がってくる。この瞬間がゲシュタルト療法のたまらなく最高な瞬間です。

 

なに急に言ってんだとか思うよね。スイマセン。

川の流れの話をした最後に、私は「自分の心を観察しろ」と言いました。しかし悩みに囚われている時、人は視野が固定されやすいです。つまり「どうしても壺に見えて、横顔になんて見えないよ!」っていうどん詰まりにいるような状況です。つまり、悩んでいるままではどうしても突破口を見つけにくい。じゃあ人に相談します?いえいえ、その前にやることがあります。問題の切り分けです。

 

状況に窮しているのか、ただ些細な不安に囲まれて怯えているだけなのか。環境が変われば(問題人物が居なくなる、引っ越しするなど)解決することなのか、そうではないのか。そもそも今目の前にある困難なのか、未来にある「かも」しれない失敗への怯えなのか。意外とみなさん、自分が何に困っているか、何に怯えているのかを把握していません。っていうか分からないからこそ怯えるんですよね。分かります。人に相談しようにも、説明がブレていたら、貰えるアドバイスはもっとブレます。まず先に問題を整理しましょう。

 

簡単です。これも部屋の片づけの次くらいに言います。自筆で書くことです。

まず何を悩んでいるか、書きましょう。頭の中でぐるぐると考えるのはノーカウントです。ハッキリ言います、意味がありません。頭の中はぐるぐるまわりやすくて、一旦結論が出ても忘れやすく、時間とともに意見を変えやすかったりと、整頓には向いていません。

自筆は面倒だからWordでいいですか?って聞かれることもあります。止めたりはしませんが、自筆をお勧めします。というのも、疲れていたら弱い文字になりますし、怒りが乗っていたら筆圧にも出ます。なにしろ電子文書とはちがって「完全には消せない」んです。Wordやブログに書いたことは消したり修正できます。その日の怒りの文章を、後日丸めて穏やかに書き換えることも可能です。そんな八百長みたいなものだったら書く必要ないんです。前日に自分が何を書いたか目の当たりにして、初めて理解できる自分の気持ちというものがあります。

 

悩みを書いてみて、翌日見直してください。過去の記述は修正NGです。翌日分として「昨日はああいう風に書いたけど、今日思い直したらそうでもなくて・・・」とそのまま積み重ねてください。日々心は揺らぎます。自分の言葉が本音なのか建て前なのか分からないこともあるでしょう。でも昨日その文章を書いたあなたは本気だった、それは間違いないわけで。積み重ねることで、自分が何に困っているのか、どう考えているのかをブラッシュアップできます。

 

箇条書きでもいいんですが、なるべく自分がどう感じているかを書いた方が、身になります。昨日の天気や夕食のメニューなんてどうでもいいんです。何があって「自分がどう感じたか」を書きとめるのがポイントです。「今日はグラタンで嬉しかった」「また母親と口論になった、うざいなと思った」みたいに原因と感情を書いておけば、翌日の自分の助けになります。ここらへんは訓練あるのみです。自分の心の傾向が分かると、負の感情に振り回されにくくなるので、困っていない時でも是非書いてみるといいですよ。真面目に。

 

 

4. 諦める

 

おいもう終わりかよって思った?違います違います、戦略的撤退と言って欲しい。

悩んでいることについてずーっと考えていたら、疲れます。疲れが先か、悩みが先か、どっちでしょうね?先日の記事にも書きましたが、ショーペンハウアーも、朗らかな気質に必要な要素として健康を挙げています。

要は、悩んでいるその問題にずーっと着目してたら疲れて余計苦しくない?ってこと。普通の事言ってますよね、私。考えても解決しない問題はいっぱいあります。時間が必要だけど待つのすら辛いってこともあるでしょう。でも待つしかない時もありますよね。

そしたらもう、寝ませんか?寝れないならご飯を食べてもいい。食べれないならせめて水分は取ろう。食欲、睡眠、排せつ、これらの欲求に素直に従ってください。ストレスがたまっている場合は暴食するかもしれません。食欲がないなら無理に3食食べなくてもいいし、寝れないなら開き直って遊んでもいいんです。

 

ここから先は職場で偶然逢っても言わないから、万が一白衣姿の私を見ても言わないように()

 

いいんですよ暴食したって。コンビニで気になるお菓子目いっぱい買って食ってもいいよ。お酒飲みすぎたってイイよ。(摂食障害やアルコール依存に悩んでいるっていう人は本末転倒になっちゃうので一応気を付けてね。)

その時欲する物が、体に必要なものだと言います。原則として「他人や自分の体を傷つけない」ことだけ守れれば、常にお利口さんでいる必要はありません。あ、でもオーバードーズだけはお勧めしません。そもそも自分の体を傷つける事なので原則からアウトになりますが、それ以前に、意識混濁して自室に吐きまくったあと、病院に運び込まれて胃洗浄で泣き、医者や家族に叱られ、帰ってきたら自室のお気に入りのバッグとか服とかスマホに乾いた吐しゃ物がこびりついてるわけっすよ。何にもいいことないからそれ。

 

悩む人の多くは、真面目です。自分を律しすぎたり、家族にきちんと見せようとがんばったり、そういった無理がたたって心が疲れて悩みを大きくしてしまうということがあります。たまには真面目な自分をサボっていいじゃないですか。

親にちょっとした悪態をついてもいいじゃない。あとで謝れば。

会社ズル休みして一日中寝るとか、ゲームするとかいいじゃない。クビにならない程度なら。

世の中「なんとかなる」ことの方が多いです。「あとで挽回できないこと」なんて滅多にありません。

 

少しハメを外して心が軽くなることもあるし、何しろ不安で張りつめた糸を少し緩めることができる。悩んで解決しないなら、一旦保留したっていいじゃないですか。要はガス抜きです。時が解決することもあるんだし。風向きが悪いだけかもしれない。まずは「不安と対峙して緊張している自分」を労わってあげてください。

 

 

最後に

 

今日挙げたのはかなり一般的な内容ですが、たったこれだけの方法でも、解消できたっていう人は多いです。あくまで自分の煮詰まった感情を薄めて飲み込むというゴールのために、いろんなルートがあるっていうだけですから、気が向いた方法から試してみてください。悩むのと同じくらい真剣にやり続けてみてください。ひとつでも「自分の悩みを解決した実績」が出来たら、その経験を大事に持っていてください。人生は長いから、何度でも悩みます。その時のために、戦果はしっかりと持っておきましょう。

 

これらの自分一人でやれる方法で解決できない、あるいはこれらをやる気力すらないという方は、心療内科に行ってみてください。すでに行っていると言う人で担当医と気が合わないっていう人は別の病院を探してみてください。気持ちを楽にする薬などのお助けアイテムをゲットすることも可能です。使える物はなんだって使えばいいんです。精神科で処方された薬、通販で買えるサプリなどについて疑問があったら聞いてください。たいてい答えられます。(でも正直、サプリはお金の無駄になりやすいので勧めません。効くんなら医薬品としてもっと儲かってるはずでしょ・・・?それなら漢方とかアロマオイルとかもっとマシなの勧めますよ・・・)

 

人生は思い通りにならない時もありますよね。川に流されているような、良い偶然も、悪い偶然もあります。でもそこで流されまいと必死に踏ん張って疲れて溺れるよりは、「流されるのも悪くないな」って見方を少し変えられたらラッキーです。幸不幸は自分の主観です。どうせ生きることにパワーを使うなら、人生を幸せに、楽に感じられるよう、パワーを注ぎましょうよ。目標は遠かれど、足取りは一歩からです。

2 Comments

  1. 自己啓発系の書物を読んでる気分。

    こうすればよかったのか、とかこれがだめだったのか、とかって自分だけでは見つけられない事が多いから、ブログで定期的に読めるこの状況はすごいありがたい気がしてきた( ‘ω’)

    ぼくはとても弱いな。自分の欠点を人に見せる勇気がなくだんだん保守的になって来ている気がする。

    まだ何も考えないで好きに生きてたときに戻りたいなー
    まあ今も割りと自由だけど( ‘ω’)

    • >自分だけでは見つけられない

      これが分かってるだけでも相当すごい。超強いパッシブスキルやぞ(’~’*)
      なんか年取るとはっちゃけられないとか、言葉を飲み込むことって増えてくるよね。
      保守的になってるのか、「沈黙は金」になってきてるのか、どっちなんだろーなー

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